8mmフィルムの保存・活用を通したコミュニティ再生と多世代が参加する地域映画づくり
■過去・現在・未来をつなぐ映画づくり
松本市在住の三好大輔監督は、国内各地域で家庭に眠る8mmフィルムを収集・デジタル化し「地域映画」を制作する活動を行ってきた。2022(令和4)年から松本市内で、各地の地域映画を上映する会「8mm映写室」を開始、子どもから90代まで世代を超えて人々が対話する場となっている。この上映会に参加する市民を中心に「まつもとフィルムコモンズ」が結成され、今年度、松本で1本目となる地域映画づくりを行った。
呼びかけを行った結果、1940 〜 80年代に撮影された8mmフィルム345本を収集、内183本をデジタル化した。映画監督の山崎貴さんが中学時代に撮影し、行方不明になっていた短編映画のフィルムが発見されるという思いがけない成果もあった。並行して行ったクラウドファンディングでは430万円を集めた。
フィルム提供者と家族へのインタビュー取材・編集には学生が参加。子どもの歌声や市民が奏でる音を多数取り入れ、松本市を拠点に活動するデュオ・3日満月が音楽を担当した。映画のエンディングは、信州大学の学生が発掘した松本市歌と、清水中学校美術部がデザイナーの太田真紀さんと制作したロトスコープで構成。2月25・26日の地域映画『まつもと日和』完成上映会では950人がこの映画を鑑賞し、熱気に包まれた。
鑑賞し、学び合い、創造する。実に多様な人々と「共創」することができる類稀な取組となっている。収集・デジタル化から利活用を通して、地域の歴史文化を省察する機会、世代を超えた交流や地域の活性化・愛着の醸成といった効果にもつながる。
今後、より多くの人に『まつもと日和』の鑑賞機会が届けられ、さらなる収集と2作目の映画制作に向けて、松本市、地域の企業・個人など幅広い支援者・協力者が得られること、優れた作品に結実することを願う。
2022年度の活動内容
❶ 8mmフィルムの収集・テレシネ
6-12 月
❷ 8mm 映写室・上映会
6/4・19・25、7/18〜22、8/15・20・25、
9/19、11/20・26
上映作品:地域映画『竹田ん宝もん』『よみがえる安曇野 1』『笠間郷想曲』『浦賀の映画学校』『斜里 昭和ノ映写室』『斜里 昭和ノ映
写室 2』、山崎 貴監督『GROLY』
会場:松本深呼吸(4 回)、山山食堂(3 回)、常念、本郷歴史研究会
❸ 「READYFOR」サイトにてクラウドファンディング
7・8 月
❹ 地域映画『まつもと日和』制作
• 9 月〜 フィルム提供者への取材、音楽録音
• 10 月 ロトスコープ制作(清水中学校美術部)
• 11〜2月 編集(信州大学学生ほか)
• 1/22 予告編公開
• 2/25・26 完成上映会(5回):松本市中央公民館 Mウイング
❺ 公式 Web サイト公開 12/11
団体・グループについて
まつもとフィルムコモンズ(松本市)
地域映画の制作や上映、座談会を通じて、世代や立場を超えた市民が対話する場をつくり、地域コミュニティの再生を目指す市民団体です。
令和5(2023)年度は昨年度完成した「まつもと日和」の上映と続編の制作を行なっていきます。