Bプログラム 活動基盤強化支援

サイノツノ・アーティスト・イン・レジデンス

上田市の民間文化施設「犀の角」を中心とした上田市及び周辺地域において、アーティストインレジデンス事業及び人材育成事業を行います。歴史や文化、風土を生かし、アーティストが上田地域に滞在し、出会い、交流し、地域の人材が育っていくことを継続して行うことを大きな目標として捉え、展開していきます。
犀の角だけではなく、関係するネットワーク、活動、エリアの中でのレジデンスと人材育成を行い、幅広い活動を展開することで、コロナ後の世界を生きる新たな表現や価値観が創造され、発信してくこと、また、次世代の芸術、演劇、劇場、福祉、支援などの場を自らの手で創造し、事業を推進し、地域を発展させていくことのできる人材が育っていくことを目指しています。

 レジデンス事業については、アウトプットを必須にはせず、アーティストが上田市に滞在し、必要な人や物、文化、伝統、風土などと出会い、交流し、そこから創造のインスピレーションを得て、じっくりと思考をめぐらし、あらたな創造に結びつけていくことを大切にしていきます。

 今年度は2つの事業を行います。

 

 

『羽衣・天・水にまつわる探訪』 〜インド・ケーララ州/サヒヤンデ劇場 × 信州/犀の角「羽衣」プロジェクトにおけるリサーチ及び滞在制作〜

 「犀の角」と「サヒヤンデ劇場」、同じ地方都市に位置する文化拠点として劇場を運営してきた二者と、両劇場での出演やインドでの長期クリエイションの経験を持つ俳優・美加理氏が国境を超え協働し、世界各地に普遍的に存在する「羽衣」伝説をモチーフとした舞台作品を3年間かけて創作します。

 南インド・ケーララ州の山中に自ら製作した「サヒヤンデ劇場」を構えながら国際的な活動を展開する演出家シャンカル・ヴェンカテーシュワラン氏は「犀の角」において、ダンサー・振り付け家の山田せつ子氏 (元京都造形芸術大学舞台芸術学科教授)とのつながりから、2020年に長野県芸術監督団事業「NAGANO ORGANIC AIR」上田プログラムとしてリサーチし、アーティストや市民らとの交流を行いました。翌21年には、上田街中演劇祭で、同事業として氏が京都芸術大学と製作した『犯罪部族法』の映像作品の上映会を上田映劇で行い、その後、インドとオンラインでつないだポスト・パフォーマンス・ディスカッションを「犀の角」で開催し、多くの観客が鑑賞しました。  08年に、美加理氏とシャンカル氏はインドにおける共同制作でクリエイションを共にしています。「羽衣」は日本だけではなく、アジア各地にも伝説が残されています。今年のリサーチはそれぞれの文化の中で描かれる物語にインスピレーションを得て、インドと日本のみならず、国を超えて個人、更には人間とは何かを探求していく時間となることでしょう。

 1年目である今年は日本各地に伝わる「羽衣」伝説や、伝統芸能、民話などを調査し作品へのインスピレーションを積み重ねていきます。 2年目はケーララ州での滞在創作とワークインプログレスを、3年目は、「犀の角」をはじめとする日本国内での滞在制作と巡回公演を想定しています。

 《滞在期間》 202377()25()

 《参加アーティスト》
演出:シャンカル・ヴェンカテーシュワラン
俳優:美加理
制作・通訳:鶴留聡子 

 《リサーチ先 ・ 滞在制作内容》
〇三保の松原など、日本各地に伝わる羽衣伝説の調査・研究
〇天竜川流域や上田地域に伝わる民話や伝承、民俗芸能の調査・研究
〇別所温泉柏屋別荘にて滞在制作 

《中間発表トークショー》
【登壇】
シャンカル・ヴェンカーテシュワラン、美加理、鶴留聡子
 開催日時:2023  724()19:00 開演(30 分前開場)
会場:犀の角(長野県上田市中央2丁目11-20

 《リサーチの記録をnoteで公開中!》
リサーチチームの旅の記録をnoteで随時公開しております。
滞在先でインスピレーションを得ている様子を是非チェックしてみてください!https://note.com/hagoromo_project

 

短期研修プログラム「表現/社会/わたしをめぐる冒険」

新型コロナウィルスが蔓延したこの数年の中で、犀の角は集まった近隣のNPOや個人と一緒に地域における助け合いと新しい繋がりをつくる試み「のきした」を通して「劇場」を捉え直してきました。

本プログラムは、次世代を中心的に担う世代(35歳以下)を対象として、劇場、美術館、音楽堂、映画館、福祉施設、医療施設、相談支援等の場において、独自の視点で作品創りやオルタナティブな場を生み出しているメンターたちと共に、コロナ後の世界を生きる新たな表現や価値観が創造され発信していくためのアイディアやその手段を見い出し、共に発明していこうとする場です。

また、研修最終日には公開シンポジウム「のきした首脳会議〜場/のき/表現/アートとその担い手をめぐる冒険〜」を行い、のきしたの人たちと共に地域の人たちと対話する時間も設けます。

受講生、メンター、地域の人たち同士が対話することで、それぞれの根源的な本質を問い直しながら、それぞれの場で育む地域を発展させていく種を探ります。

企画背景
2016年から演劇公演やライブなどの文化事業とスタジオ利用などの貸し館事業を主な事業として行ってきた犀の角は、コロナ禍により社会状況が大きく変化したことをきっかけに、雨風をしのげる場を街中につくろうという取り組み「のきした」を近隣のNPOや個人等とともに始動しました。関わるメンバーたち一人一人が首脳となり話し合う場「のきした首脳会議」を定期的に行い、課題やアイディアを持ち寄り、オリジナルの企画を運営してきました。現在、「やどかりハウス」「おふるまい」「時間銀行ひらく」「うえだイロイロ倶楽部」などの活動を行っています。

こうした「のきした」の活動を通じて、犀の角は劇場を芸術文化の専門施設としてだけではなく、地域社会に開かれた「出会い」や「助け合い」の場として捉え直しながら新たな劇場の在り方を模索してきました。

この研修プログラムは、未来の社会を生きていく私たちが表現の本質や在り方をどんな形で捉え、場を展開していくべきか、次世代を担う受講生と一緒に思考を巡らせていきます。

研修期間
2023年9月8日(金)〜10日(日)3日間

 

シンポジウム「のきした首脳会議~場/のき/表現/アートとその担い手をめぐる冒険~」

 芸術文化・医療・福祉などの分野において、次世代を中心的に担う35歳以下の世代を対象にして行う短期研修プログラム「表現/社会/わたしをめぐる冒険」の最終日に開催する公開シンポジウムです。
上田地域で活動が広がる、助け合いと新しい繋がりをつくる試み「のきした」の事例を紹介しながら、人が集まる場の必要性や既存の枠組みに縛られない在り方に向けた言語化を試みます。
受講生、メンター、地域の人たち同士が対話することで、それぞれの本質を問い直しながら、それぞれの場で育む地域を発展させていく種を探ります。
このシンポジウムは研修参加者だけでなく、どんな方でも参加できます。ぜひご参加ください!

登壇:
元島生(NPO法人場作りネット副代表)、直井恵(うえだ子どもシネマクラブ・草の根文化芸術コーディネーター)、原悟(NPO上田映劇・一般社団法人こども映画教室理事)、武捨和貴(NPO法人リベルテ代表理事)、野村政之(信州アーツカウンシル・ゼネラルコーディネーター)、羊屋白玉(アーティスト、ソーシャルワーカー)、荒井洋文(犀の角代表)

開催日:910日(日)
時間:13:30開演(開場30分前)
会場:犀の角(上田市中央2丁目11-20)
参加費:1,500

チケット予約:https://saitsunoAIR-training-program2023.peatix.com
問い合わせ:一般社団法人シアター & アーツうえだ (担当 : 伊藤)
TEL:0268-71-5221 
Mail:info@sainotsuno.org 

団体・グループについて

一般社団法人シアター&アーツうえだ(上田市)

上田地域の活性化と芸術文化振興に寄与することを目的として海野町商店街に劇場、スタジオ、カフェ、ゲストハウスを備えた民間文化施設「犀の角」を2016年にオープン。様々な表現活動や地域住民・アーティストの交流の場として運営している。

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