地域連携による親子の伝統文化体験と継承への取組
ふるさと芸能研究所が設立当初より行ってきた、伊那市近隣の小学生を対象とした芸能体験教室や学校等での鑑賞教室が、コロナ禍の影響で実施が激減。もともと少子高齢化や過疎化などで芸能の担い手が減少傾向にある伝統文化自体も、相次ぐ祭りの中止・縮小で、継承の危機といっても過言ではない状況となっている。 こうした事態に対して、伊那市内の芸能団体(田楽座、伊那節振興協会、阿波踊り信州桜華連)と連携し、団体の出演機会を創出するとともに、子どもたちに伝統文化を伝えるためのネットワーク強化を図ることを目的に、「伊那谷地域伝統文化おやこ体験フェスタ」を実施した。 当日は親子約70名が参加。会場の伊那市生涯学習センター/ニシザワいなっせホールの複数の部屋を同時に使い、各種の芸能のワークショップ体験と鑑賞を組み合わせたプログラムがスムーズに進行した。子どもたちが伝統文化に触れ、郷土芸能に関心を持つきっかけとなる貴重な機会を提供し、これをきっかけに活動を共にするメンバーが増えた例もあるという。参加者に対して密度の濃い体験を効果的に伝えており、伊那谷のみならず他地域へ展開していく発展性もある魅力的なプログラムとなっていた。 伝統文化の体験機会を継続的につくっていくことが、次世代への文化継承のために求められている。今回、伊那市内の各芸能団体が「伝統文化を次世代につなげたい」という共通の思いで協力関係を築けたことの意味は深い。ふるさと芸能研究所と田楽座が各地で活動した経験を、地域の連携につなげ、子どもたちへの機会提供と継承の課題に取り組んでいく動きが、地域のさまざまな応援・支援を得て持続的に発展していくことを期待する。
2022年度の活動内容
1/9「伝統文化おやこ体験フェスタ」 | 会場:伊那市生涯学習センター/ニシザワいなっせホール |
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団体・グループについて
特定非営利活動法人ふるさと芸能研究所(伊那市)
日本の郷土芸能分野に対する啓発・普及・発展振興を通した地域づくりを目的に平成29年6月設立。具体的には、全国各地の学校・地域で郷土芸能を題材にした舞台の鑑賞機会の提供、芸能体験ワークショップの開催、各地の祭りや芸能を調査し記録等を行います。