『信州クラシック音楽紀行コンサート ゆるやかに聴くベートーヴェン』に行ってきました!
10月21日(金)に飯山市文化交流館なちゅらで行われた「信州クラシック音楽紀行コンサート ゆるやかに聴くベートーヴェン」に行ってきました!
今回のコンサートは信州アーツカウンシルが支援している事業のひとつ。主催はクラシック音楽に親しむ講座の会です。上田市や佐久市などの長野県東部を中心に活動している団体で、「クラシック音楽を日常に」をテーマに、室内楽の演奏と地域講座などを組み合わせたユニークなコンサートを2017年から行っています。
「クラシック音楽の生演奏を“聴く文化”を広め、長野県全77市町村でコンサートを開催したい」という思いから、事業名は「創る・聴く・響きあう 信州クラシック音楽紀行コンサート77」と名付けられています。当会主催のコンサートとしては、長野県北部での初めての開催となりました。
長野県東北部を流れる千曲川(信濃川)を、上田市から下流に80km近く下ったところにある飯山市。会場となるなちゅらは隈研吾設計の公共ホールです。飯山市の豪雪にも耐えうるようにと選ばれたコールテン鋼と地場産材カラマツを組み合わせた外観が特徴で、大小のホールや多目的ルーム、「ナカミチ」と名付けられたロビーホールからなり、内装にも長野県産カラマツやヒノキ、飯山市の伝統的工芸品である内山紙が使われています。音響などにもこだわった上質なホールでありながら、やわらかさやぬくもりも感じられる空間です。
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なちゅら大ホール -
チェロの渡部玄一さんとピアノの望月晶さん(写真:クラシック音楽に親しむ講座の会)
今回の舞台は大ホール。チェロの渡部玄一さんとピアノの望月晶さんがステージ上に現れると、大きな拍手が鳴り響きました。
1曲目は、ボッケリーニ:ソナタ イ長調より アダージョとアレグロ。
本公演のサブタイトルに「ナビ付で安心 クラシック音楽に会いに行こう♪ in 飯山なちゅら」とあるように、渡部さんがベートーヴェンや楽曲にまつわるお話をしてから、ピアノソナタ第14番「月光」の演奏へ。
渡部さんのお話では、ベートーヴェンの生涯や作品の背景にあるストーリーを聴くことができ、「『月光』という曲を通してベートーヴェンの人生に思いをめぐらせると、人間の本当の姿とは…、といったことも考えさせられます」といった渡部さんの言葉が印象的でした。
最後は、スペインのチェロ奏者・作曲家であるパブロ・カザルスの愛奏曲より3曲が演奏されました。
カタロニア民謡:鳥の歌
サン・サーンス:白鳥
カサド:親愛なる言葉
「親愛なる言葉」は、20世紀スペインを代表するチェリスト、ガスパール・カサドが、故郷を追われたカザルスに贈った曲。戦争と平和、悲しみと喜びなど相反するものが響きあうようなこの曲は、この世界と自分自身のあるがままの姿を見つめ直すことを促してくれるようでした。
退場後の拍手が鳴り止まず、渡部さんと望月さんが再登場。ラフマニノフの名曲『ヴォカリーズ』をアンコールで演奏していただきました。
リピーターの方や地元の方が訪れるアットホームな雰囲気と、誰にでもわかりやすい解説、聞き応えのあるプログラムで、会の活動の積み重ねや間口の広さを感じました。音楽そのものもそうですが、表現する方、それを支える方が多様なアイデアを持ち寄りながら、地域の文化を掘り下げ、盛り上げている活動だなと思いました。
クラシック音楽に親しむ講座の会代表の和田みどりさん(写真右から2人目)は「多くのお客様がすばらしい演奏を堪能してくださり、よかったです」とおっしゃっていました。
渡部さん、望月さん、クラシック音楽に親しむ講座の会の皆さん、心豊かになる時間をありがとうございました!
(文:水橋絵美)