人形劇の創作・上演による県内人材育成
松本市を拠点に、国内外各地の子どもたちに人形劇の上演活動を行っているくすのき燕が、子どもたちを対象とした作品に興味を持つ県内在住のパフォーマーとともに、人形劇の創作と上演を行いながら、その技や考え方を伝え、県内を拠点にプロとして活動できる人材育成を目指して着手した取組。 4日間のワークショップは、人形での演技に興味を持つアーティストなどが、人形演技に関する技術の基礎的な考え方を学ぶ機会 となった。こうした人形劇の学びの機会は珍しく、予定人数を大幅に超えて県外の人形劇団からも受講者があった。 続いて、県内在住のパフォーマー・井川ちなみ、俳優・成田明加がダブルキャストとなり、くすのき燕と共演する新作『さんびきのこぶた』を創作。できあがった作品は、園児数の少ない保育園を中心に、県内のさまざまな場所で上演した。 生の舞台に触れる機会が少ない園児数9名の小規模園や児童養護施設での上演ができたことは今後の財産となった。また、稽古見学をきっかけに招かれた松本短期大学の研究会では、学生や地域の保育士も鑑賞し、上演後には幼児期における演劇・人形劇の意義についての話し合いがもたれるなど、交流の拡大に期待が持てた。 大人以上に敏感に反応する子どもたちへの人形劇の実演において、プロの育成には継続的な実践を通して技術面の成果や制作面での学びが必要となる。井川・成田の2人は、次年度(令和5年度)もさらに経験を積む。 子どもが少なくなり、予算などの面で文化体験を設ける余裕のない保育園等にとっては、県内でレベルの高い作品が調達できる環境があることは得難い。本事業をきっかけに子どもたちの鑑賞機会が増えていくことを期待したい。
2022年度の活動内容
❶ プロを目指す長野県在住のアーティストを対象とした人形演技のためのワークショップ | (全4回) |
---|---|
❷ 「さんびきのこぶた」創作、稽古 | (15日間) |
❸ 子どものいる現場(保育園・幼稚園や親子対象の公演など)での上演 | (計 6 回) |