地域の文化資源を掘り起こし、次代につなげる
中山道の宿場町・追分宿に位置し、かつて堀辰雄や立原道造といった文化人が好んで利用した「油屋」。旅館廃業後、地域資源である趣きある建物を、ギャラリー、カフェ、アトリエが入る「信濃追分文化磁場油や」として、NPO法人油やプロジェクトが再生させた。2012年の設立以来、地元作家の個展やクラフト市、また演劇の上演やコンサートなどの文化活動を積極的に行い、軽井沢町追分地区の町おこしに寄与している。 今年度は、地域の新たな文化資源の活用、次世代への活動・鑑賞機会の提供となる2つの取組を通して、シニア世代が中心的に運営している油やを、持続、継承していくきっかけづくりに着手した。 美術展&コンサート「絵とお話と音楽の美術展」では、軽井沢にちなんだ歌や小説からインスピレーションを受けたアーティストがアート作品を制作・展示した。音楽ユニット「オノマトペル」は、追分宿に伝わる民謡「追分節」を現代風にアレンジし『令和の追分節』として新たな形で創作。油やでライブを行うとともに、ミュージックビデオを制作しYouTubeで公開した。 児童演劇「ソノヒカギリ美術館」は、劇団風の子のレパートリー作品として全国各地で上演されてきた作品であり、油やプロジェクトの理事であるナカムラジンが美術を担当。今回の事業では美術の一部を新たに地元アーティストに依頼し、上演と合わせて子どもを対象にワークショップも実施した。美術鑑賞への導きとなる内容であることから、県内の公立美術館での上演も図る。 地域の歴史・文化を示す魅力ある場を、世代を越えてどのように持続させていくか。油やで模索されている様々な試みが実を結ぶよう、支えるさまざまな人の関わりを期待したい。
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美術館をテーマにした児童演劇「ソノヒカギリ美術館」劇中の様子① -
美術館をテーマにした児童演劇「ソノヒカギリ美術館」劇中の様子②
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「ソノヒカギリ美術館」に飾る作品をつくる工作ワークショップ -
工作ワークショップで子ども達が作った作品の数々
2022年度の活動内容
会場:信濃追分文化磁場油や
❶9/15〜19 | 美術展&コンサート「絵とお話と音楽の美術展」 (1)民謡「追分節」や軽井沢にちなんだ小説、歌をもとにしたアート作品の制作と展示 |
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❷9/10 | 児童演劇「ソノヒカギリ美術館」 (1)美術館をテーマにした児童演劇の上演および美術作品の制作 |
団体・グループについて
特定非営利活動法人油やプロジェクト(軽井沢町)
中山道・追分宿にある信濃追分文化磁場油や(旧油屋旅館)の保全と有効活用を目的に 2012 年に設立。アートやクラフトにちなんだイベントを定期的に開催し、追分宿にて文化による町おこし活動を行っている。