手から生まれる人形劇の魅力
飯田市を含む伊那谷には数百年の歴史を持つ今田人形(飯田市)、黒田人形(飯田市)、古田人形(箕輪町)、早稲田人形(阿南町)という4つの伝統人形芝居があり、各地域の市民が保存や振興に取り組んでいる。特に飯田市は、日本最大の人形劇イベント「いいだ人形劇フェスタ」が行われるなど、多くの市民が人形劇と関わりながら暮らしている「人形劇のまち」である。 今年度は各種人形劇講座を飯田市で実施したほか、「飯田市以外の場所でも人形劇の楽しさを伝えたい」という思いから、松川村や飯山市、辰野町でも人形づくりのワークショップを開催。子どもから地元劇団員といった経験者まで、幅広い参加者に対応したプログラムを組み、指人形やお面人形などの制作機会を提供した。 「わかりやすく話す、読むための基礎講座」では、小学6年生から70代までが参加。人形劇に関わる声の表現について、幅広い年代が一緒に学べる機会ともなった。また、ハンドパペットをつくった参加者からは「つくった人形から物語が生まれることも感じてみたい」といった声が聞かれた。
人形づくりから “ 表現の場 ” づくりへ
コロナ禍で交流の機会が減っていた人々に、創作や表現の楽しみを共有できる場を届けてきた「いいだ人形劇センター」。今後は、同会場で複数の講座を展開することを視野に入れ、新たなプログラムの考案に挑戦するほか、「つくった人形を動かしたい」という要望に応えるため、ワークショップ後半にエチュードを取り入れるなどのアイデアもある。次年度に向けて活動の幅が広がる1年となった。
2022年度の活動内容
❶ 5/28・29、6/18・19 | :片手遣い人形講座 飯田文化会館 |
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❷ 9/6・11/8・12/12 | :ハンドパペットをつくろう 松川村図書館・辰野町立辰野図書館・おもちゃの木(伊那市) |
❸10/29 | :ちっちゃい人形をつくろう 飯山市子ども館きらら |
❹ 11/12・13・ 19・ 20 | :張り子でお面をつくろう 飯田文化会館・飯田市公民館 |
❺ 1/28、2/4 | :わかりやすく話す、 読むための基礎講座:飯田市川本喜八郎人形美術館 |
団体・グループについて
特定非営利活動法人いいだ人形劇センター(飯田市)
365日「人形劇のまち」を目指し2013年に設立。国内外のアーティストを招聘し公演を企画するほか、市民対象の人形劇講座や市民との共同制作も実施。2022年から人形づくりの出張講座を開始。県内各地に人形劇の楽しさを伝え、広げる。