【レポート】第3回オンラインゼミ「コーディネーターという仕事とは」 コーディネーター研修プログラム2026

これまでの講座では、地域アーツカウンシルの概略や設立の機運が高まった歴史的背景などを中心に学んできた。今回は、本題にあたる人的リソースに関わる部分に迫る回である。「コーディネーターという仕事」をテーマに、秋田市文化創造館ディレクターの芦立さやかさんからお話を伺った。

秋田市文化創造館について

秋田市の計画において、秋田に暮らす人のために、自分らしい表現を探す人のために、新しい活動を生みだすための施設として2021年に開館。現在、NPO法人アーツセンターあきたが指定管理者となり運営されている。創造館は、ジャンルを横断した実験的な表現や活動を行うアートセンターとしての側面と、学びや交流を促し、地域課題の解決に向き合う公民館の役割、加えて文化芸術活動の支援といったアーツカウンシル機能を併せ持っている。中でも「貸館」の捉え方が従来の公立施設とは明らかに違っている点が興味深い。多くの施設は、貸館は事業の合間に行う副次的な事業(いや、事業ですらないかも)という扱いで、サービス等も受け身的な印象が強い。対照的に秋田市文化創造館からは、貸館利用について能動性を感じた。「相談会」「チャレンジマーケット」「カタルバー」など、利用者を創り出す“創客”を組織が一体となって取り組んでいる。

ロゴや愛称を持たないというスタンスも創造の主体は市民であり、求めに応じて如何様にも施設側が変化・対応するという気概を感じた。

コーディネーターに必要な力

コミュニケーション力

・相手の話を聞く

・疑問を放置しないで聞くことができる

・相談しやすい関係性を作っている

リサーチ力

・情報を集めている(他館情報、新聞等やSNSのニュース、口コミ)

・整理しストックする引き出しがある

ファシリテーション力

・話しやすい状況をつくる

・衝突が起きた時に優先順位をつけることができる

・失敗を恐れず、決断する力、臨機応変な対応力

伴走支援力

・活動者への好奇心/尊敬する点を見出すことができる

・選択肢を増やすことができる/こちらがアドバイザーになっていない

 

講義の最中に信州ACの野村さんもおっしゃっていた通り、芦立さんはこの茫洋としたテーマを見事に言語化していただいたと思う。コーディネーターは、可能性を押し広げる人で傾聴力が必要。アドバイザーではない。伴走支援力とは、活動者への好奇心、相手に対して尊敬する点を見出すことができる、選択肢を増やすことができる という説明は、なるほどと頷ける。芦立さんは、市民の方と接する際は過信せず、自分は専門家ではないというスタンスを貫かれているというお話に共感した。数多くの人とつながり、様々な現場を見続けていると自身の専門性が高まったように錯覚してしまう場面は少なくない。とはいえ、つなぐという「専門性」は、社会教育分野における「社会教育士」や社会的処方における「リンクワーカー」よろしく、現代社会のあらゆる場面において必要とされている能力ではないだろうかと感じている。

受講者の一人として(雑感)

「カタルバー」の紹介があったからという事ではないが、対人コミュニケーションにおいての「語る」という行為の重要性について改めて考え直す機会になった。表情やスピード、声のトーン、身振り手振りが加わることで伝わる内容が協調される。SNSではなく、またテキストでもなく、自分自身の言葉でその場にいる人たちに語る。こういった直接的な“場”が人を育て、強くしていくのかなと思った。

レポート:生田 隆明(受講者/公益財団法人三重県文化振興事業団)

第3回オンラインゼミ
「コーディネーターという仕事」

日時:2026年9月11日(金)18:00-20:00
形式:オンライン
ゲスト講師:芦立さやかさん(秋田市文化創造館 ディレクター)

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